最後の海

電車を乗り継いで君と海に行ったのは
夏も終わりに近づいたいつかの昼下がり

踏切を渡って防波堤がみえてくると
地元の子供達の声と潮騒が聞こえてきた

波間に揺れている銀色の道
遙か向こうの空 鳥が横切ってゆく

あの時君に何か言おうとしてみたんだけれど
わずかな命を焦がしてる蝉の声にじゃまされた

太陽が傾くまで君は波と戯れてた
細い君の後ろ姿をテトラポッドから見てた

仕事終えた船が帰ってゆくよ
子供たちの声もどこかに消えてった

あの時の風景を永遠のフレームにおさめて
僕はただひたすら時が止まることを願ってた

海は何も言わないで 僕達を見守っていた
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