ふるさと帰行

汽笛がひと声 泣きながら
鉄橋わたれば ふるさとの秋
捨てる時より 戻る日が
どんなに辛いか 男には 男には
希みも夢も 誓いも意地も
いつか色褪せて 走る風の中

見送る言葉も 言えなくて
おさげとコスモス ゆれてたあの日
車窓の向こうに 見る山の
ふもとは静かに たそがれて たそがれて
萱ぶき屋根も 田んぼの道も
遠い思い出に つづく風の中

列車が着くたび 席が空き
淋しさなお増す 各駅停車
ゆれて近づく 里の灯に
あふれる涙は なぜだろう なぜだろう
負けたんじゃない あきらめじゃない
都会のやさしさも 連れて風の中
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