さいはて哀歌

白く凍てつく 北の海辺を
人を葬う 黒い列が行く
だまりこくって 悲しみさえも
風の彼方に 埋めてしまうのか
ああ寒い寒い 人の世を
流れ流れて 辿りついたさいはて…
おれも捨てようか 恋のなきがら

つらら浮かべて 酒を飲んでも
昔の夢が 帰る訳じゃない
せめて思い出 抱きしめながら
風をまくらに 眠ってしまおうか
ああ寒い寒い 人の世を
流れ流れて 辿りついたさいはて…
春は遠すぎる 海の流氷

生きて来たことは くやまないけど
女を愛した 古い傷がある
群をはずれた かもめが一羽
風にまかれて 海辺に消えて行く
ああ寒い寒い 人の世を
流れ流れて 辿りついたさいはて…
おれも消えようか あすの吹雪に
×