ハジマリノヒ

小さく揺れる肩は
何か大事なものをずっと探していた
出会ったものや懐かしいものに
なぜだか涙が滲んだ

「あぁ、そうか。失くしてはいなかった」と
思い出した

小さな火が窓を叩いている
また君に会えたと手を伸ばして
訪れる日を「ハジマリノヒ」と名付け
忘れないように抱えた

街の人たちは言った
「その火はなんだい?危ないからさ、消しなよ」
声を背に走って火を隠した
火は悲しそうに息をひそめた

本当は逃げたくなかった
火が消えるたび何度も思った
それでもまた探してきたじゃないか
ほら、どこにだって火種はある
息を吹き込めば…

火花ひとつ夜を駆けていった
心をそっと照らして

真っ暗だった世界が色付いた
「先に行くよ」と火は走りだした
追いかけていく
転びかけても
並んで走っていく

やがてまた
誰かへと火が灯る
「ハジマリノヒ」は
何度だってやってくる
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