東京さすらい歌

ビルの谷間の 人波(ひとなみ)が
寄せて渦まく 日の昏(く)れどきは
さすらいの 胸に愁(うれ)いの
ドラが鳴る
銀座は あー銀座は
海のない港

劇場(こや)のネオンに 飾(かざ)られた
クレオパトラの かなしい笑顔
呼びかけて 言葉(ことば)かよわぬ
人の子も
めがしらー あーめがしら
濡らす数寄屋橋(すきやばし)

遠いふるさと 遠い人
花の都の春待ち侘(わ)びて
うすれゆく 水の夕陽に
目をやれば
皇居の あー 皇居の
杜(もり)も霞(もや)の中
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