津田寛治

昨日は犯人 今日は刑事
そのあと2時間後に裁判官
役から役 現場から現場
走るその男 俳優 津田寛治
白衣 作業着 部屋住みジャージ
シリアス コミカル ファンキー ミステリー
置かれた場所で咲く花さ
まさに業界屈指 いぶし銀 ギラリ
映画の神様に片想いさ
しかし演じた役の数が桁違い
つまり数百人分の片想い
その愛 両思いよりも重い
おんなじ役は二度とない
最初で最後 一度の人生での幾多の人生を生きる職業
手にした台本 全てに愛を

そこにあそこに津田寛治
振り向けばそこにいる津田寛治
笑う津田寛治 泣く津田寛治
津田寛治が演じる津田寛治

「もうちょい気楽に、、、」
なんて 言われても無理
何故なら俺は津田寛治
自分の命輝かす為に 役の命を預かり生きる日々
この世にちょい役なんて役はない
筋書きの中じゃ引き立て役でも
そいつ人生 そいつが主役
やればやる程 奥行きは深く
画角の外に生い立ちや歴史 脚本に乗らない歩み 営み
点から点 結ばれる線
それを束ねて生きる人間
天使の歌にも毒の一滴
悪魔の中にも一縷の光
時には夜中に吠えるニワトリになり
銀幕を駆ける 星と共に

そこにあそこに津田寛治
振り向けばそこにいる津田寛治
笑う津田寛治 泣く津田寛治
津田寛治が演じる津田寛治

たかが相槌に刹那の魂
猫背一つにも数多の丸み
生き様を込める傘の持ち方
箸の持ち方 立ち方 歩き方
目付き 顔付き その果てに暮らし
毎日の食事さえも役作り
役として目覚め 役として眠り
役として生き そして死んでいく
すると次第に差し迫る狂気
演じた役 本当の自分 次第に曖昧になる境目
果たして一体 俺誰だっけ? わかんねえ
けどまた次のカチンコが鳴ってる

この前さ
「映画にドラマに引っ張りダコですね」
って言われた津田寛治がさ
その場で蛸を演じ始めたらしいんだよ
しかも真蛸と水蛸を演じ分けて
あいつ この世の全てを演じ切るつもりだぜ
ところでさ お前 これを聴いてるお前だよ
今この曲を聴いてるお前だって
津田寛治が演じているだけかもしれないぜ
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