男の秋

秋が匂う この湖の水底に
金色の魚が 棲んでいるとか
恋も知らず 陽の目も見ずに
寂しかないか 目の無い魚よ

花も散るし 灯もうるむ 人の世に
生まれてはみたが 独りぽっちさ
親も知らず 身寄りもなしに
かいなく昏れる 旅路の秋さ

いのち賭けた ほんとの恋も 片想い
俺だけが窃っと 泣いてきたのさ
人の住まぬ やさしい国へ
行きたくなった 男の秋さ
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