靖国の母

夢を見ました 倅(せがれ)の夢を
肩をたたいて くれました
骨になっても
母を忘れぬその優しさに その優しさに
月がふるえる 九段坂

(セリフ)
あの日、万歳の声に応えて、
お前は挙手の礼をしたっけ。
日の丸の旗を、たすきにかけたお前は、
とても凛々しかった。
「お国の為に、立派に死ぬんだよ」
私は殊更きびしく言ったけど、
心の中では
「どうか無事で帰ってくるように」って、
泣きながら祈っていたんだよ。

生きてきました 嵐に耐えて
めぐり逢う日を 待ちました
愚痴は言うまい
ここの社(やしろ)へ 詣(もう)でる人は 詣でる人は
みんなせつない 人ばかり

(セリフ)
それでも、まだ南の島に
日本兵がいるって噂をきくと、
もしやお前じゃないか、
もしや生きているのじゃないかと、
居ても立ってもいられなくなるのさ。
こんな母さんを、許してくれるね。

花が咲きます 桜の花が
まるで倅(せがれ)の 姿です
帰る望みも
今じゃはかない陰膳(かけぜん)だけど 陰膳だけど
供え続ける いつまでも
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