出船

船は港を離れ 暗い波間を進む
泣いて見送るお前 あんなに小さい
ちぎれるばかりに 振る手が
泪でこまかく揺れる
これが見おさめなのか
この世の別れなのか
声にならない声を 霧笛がかき消す

船は港を離れ 知らぬ他国を目指す
岸を走ったお前 今では見えない
小指にからまるテープを
たどればプツリと切れる
これが見おさめなのか
これきり他人なのか
二人暮らした街の 灯りがまたたく
灯りがまたたく
×