君を照らしてるのは少し前の光
今とは違ってさ、少しだけ冷たく見える
「悲しいわ」
君が呟き
僕らは目を細める

優しく笑う世界が嫌だった
すぐに消えちゃいそうに見えたんだ
狭い路地裏から見上げた月がいつもより柔らかくて
僕らはどこにも行きたくなかった

背中の羽が邪魔なんだって君は言うし
僕から伸びた影は退屈な夜みたいで
白く染まった人気のない街の中で凍えてた

「いつかこの光が私を暖かな場所へ連れていくとしたら悲しいわ」
君はそう言ったあと少し嬉しそうで
手の中の羽を放り投げた

朝の光の中、世界が止まってたんだ
君と羽だけが輝いていたんだ

乗車待ちのタクシーや
遊び疲れて眠る学生の
周りを舞う羽
それを見て笑う君は
誰かの思い出とか存在しない御伽話
まるで君がさ世界そのものだったんだ

「いつかこの光があなたを暖かな場所へ連れていくとしたら寂しいわ」
君はそう言ったあと少し空を仰ぎ
残ってた羽を全部投げ笑った

光る羽越しの街は綺麗だった
僕らの影は踊り続けた
止まったままの世界でさ
光っていたんだ
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