微熱

人波は今夜も 大通りをゆく
既に煌びやかな “普通”を辿って
私は今、左に 背を向け暗がり
等間隔に灯る 街灯路をゆく

輝くシャンデリアに 夢は宿らない
窓に映る消えゆくような 儚さに踊る

微熱に塗れた
此処 貴方 胸の中
悲しい蜜の甘美に触れて
進み行く、大都会
我が儘に咲いた この祈りを束ねて
手向ける希望の灯火は
朝の気配と共に

何食わぬ匂いで 大通りをゆく
肌にまだ確かな 微熱を纏って

電波塔から見える 宝石の街を
天国だと分かって この身を投げたの

無機質に流れ行く 高級車の群れに
飛び出すから抱きしめて 激情と歌うの

微熱に塗れた
此処 貴方 胸の中
悲しい蜜の甘美に触れて
狂い行く、大都会
我が儘に咲いた この祈りを浮かべて
流れる愛河の止まり木は
夜の帳の中に

人波は今夜も 大通りをゆく
私は今、静かに 口笛と揺れる
×