鈴鹿峠の旅がらす

恩は着るもの 返すもの
はぐれ鳥でも 忘れはしない
行ってきやんす しばしの別れ
あの娘手をふる 杉木立
右は近江路(おうみじ) 左は伊勢路(いせじ)
鈴鹿峠の 旅がらす 旅がらす

ちょっと待ってが 愛しくて
三日おくれて 草鞋(わらじ)を履(は)いた
脇差(どす)も合羽(かっぱ)も さらりと捨てる
そんな明日(あす)への 七曲り
つれにはぐれた 白鷺一羽
飛んで鈴鹿は 雨になる 雨になる

花を見るより 根がみたい
母のおしえが 今さら沁みる
勝手気ままな 性分だから
ご恩返しが 先延ばし
ここを抜ければ 土山宿(つちやましゅく)か
鈴鹿峠の 旅がらす 旅がらす
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