バラの花束

愛に挫けて 街を離れた
別れもいわずに 部屋をとび出した
古里に戻って バラを育てた
家族に隠れて 泣いてばかりいた

母は静かに 私に呟いた
バラにも相手の 気持ちが分かる

優しくならなきゃ 花はいじける
まして愛など 実りはしない
涙だけでは バラは咲かない
あなたなしでは 私も生きられない

日傘を回して 母が手を振る
涙の中で 父がうるんでゆく
古里の駅は 一人ぼっちで
笑う人泣く人 ただ見つめている

バラの花束 指先にまだ
愛のトゲが 刺ったままで

なのにこんなに 優しくなれた
こんどはきっと 愛を離さない
涙で育てた バラの花束
胸にかかえて あなたの待つ街へ

あなたの待つ街へ
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