一幕芝居

一幕(ひとまく)芝居の 人生を
飾れる夢さえ 今はなく
倖せ失(なく)した 手のひらに
今夜もグラスが 揺れている
ゆらゆら酔えば ゆらゆらと
返らぬ昔が 顔を出し
涙が耳もと 濡らす夜は
はずした指輪の 跡を噛む

淋しさ支える ほほづえを
揺さぶる冷たい 雨の音
夜更けて華やぐ 街の灯(ひ)は
別れたあなたを 点(とも)しだす
シトシト降れば シトシトと
小雨に未練が またまじり
今夜も酒場の とまり木が
ふる里みたいに なっていた

はらはら泣けば はらはらと
あなたが恋しい 酒ン中
今夜も想い出 泳がせて
幸せさがしの 夢を織る
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