母人よ

海が母なれば この空は父のごとく
この世に授かった わが身の尊さよ
めぐる四季だけが 生きている道標ならば
せめて夢に咲き 老いて星に散れ

母人よ いまも恋しく 花に似た
優しき あなたの匂い
時よ つれて帰れ
あなたのあたたかき胸に

人の儚さは 朝露に生まれ落ちて
夕べは悲しみの 涙に暮れてゆく
熱きこの胸も いつの日か雪に凍り
今日を何故急ぎ どこへ帰るのか

父人よ いまだ未熟で
盛夏の日の 青雲より あなたは高く
時よ 語りかけて
あなたの教えのように…

母人よ いまも恋しく 花に似た
優しき あなたの匂い
時よ つれて帰れ
あなたのあたたかき胸に

あなたのあたたかき胸に
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