月の兎

目を閉じて 見えたのは 月の真ん中
迎えは 訪れず おとぎ話のような奇跡は
きっと きっと 風が運ぶ 秋の夜長
そっと そっと 影が寄り添う

声のない 兎のように
ほんの僅かだけ 変わりゆくサインさえ
僕が離さぬように
同じ悲しみ分だけ そばにいさせて

音もなく 泳ぐのは 欠けてゆく月
涙は くたびれて いつか違う場所で笑えるよ
きっと きっと 夜明け告げる夢の続き
そっと そっと 香りがまとう

羽のない 兎のように
少し頼りない さよならの優しさも
君が教えてくれた
同じ光の先で 待っているから

今も明日もいつまでも 想っているよ
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