刹那逢はまし恋牡丹

秘めやかに鐘が鳴る 十三夜 宵
抜け出した恋心 闇を彷徨(さまよ)い
想いはきっと離れはしない
月が隠れ果てても
一目逢えれば現(うつつ)になれる
この世に舞い戻って
人気(ひとけ)のない途みちを行(ゆ)く 誰にも私は見えない
君だけに逢える時に 人の姿になる

恋焦がれ消えてなお 忘れ得ぬ 人
醒めないでこのままで 瞳閉じましょう
朝が来るまで刹那(せつな)の逢瀬
二人ならそれでいい
誰にもきっと邪魔は出来ない
前世からの約束
人気(ひとけ)のない途(みち)を行(ゆ)く 誰にも私は見えない
君だけに触れた時に 紅(あか)き牡丹になる

限りある時間(とき) 離れることが
苦しくなり始めて
夜が明けてもそばにいられる
永遠(とこしえ)になりましょう

人気(ひとけ)のない途(みち)を行(ゆ)く 誰にも二人は見せない
君なしでは還(かえ)れない ひとり黄泉(よみ)の国へ

二人きりで行(ゆ)く途(みち)は 白い空に続く
紅い花が降りそそぐ 園へ向かいましょう
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