ひとひらの雪

可哀相だわ 一緒に泣かせて
密やかに散る ひとひらの恋ね

あなたは愛の巡礼ね
巡り巡る白い神殿は
大理石の肌両手で抱いて
溢れる泉に口づけをした

狂おしいほどに愛を囁き
夜明けになったら旅立つの
やさしい男は それだけで罪

可愛相だわ 男も女も
積もることない ひとひらの雪ね

女も愛の巡礼ね
祭壇の前に額づいて
一人を守ると誓ったあとに
ベールを脱ぎ去り体を開く

過ぎ去る月日は恋ゆえ早い
切ない吐息に急されて
移ろう女の それだけが愛

可愛相だわ 一緒に泣いてね
秘めやかに舞う ひとひらの夢よ

掬い上げたら 幻のように
消えてしまうの ひとひらの雪ね
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