花霞

グラスの破片
拾うあなたを照らした白熱灯がさ
何を知ってるの
夜を忘れたふりしたって
宿命的な痛みは今も残ってる
あなたが去ってからのほうが長い
人生だけど 仄暗いまま
遣る瀬無きこと

どうして泣いてるの
ねぇあなたは花霞で、
触れてみたいと思ってしまえば 呪い
ただ咲き誇っては散っていく
夢みたいな春
交わらずに 吹き抜けてく
風でいてよね

落としましたよ、って渡された
心が僕のじゃなくて困って笑った
現実味だけがある 仮想の世界
飲み込まれる 幻想に
もういないのに、目を奪われる
突き刺さるメタファー
後悔の海を漂流しているだけの
僕にも朝が来ると言うのか?

どうして笑えるの、
すべてを置き去りに
霧を晴らして駆けてく姿、駿馬
一面に香る春を切り裂いた先に
待ってる痛みすら
あたたかく抱いて、あなたは往ってしまった

あなたがかつて愛した
自由へと走りゆく様は
かえって僕を縛っている
泥が跳ねた軌道
光に満ちた背なを見る
瞳が溺れていく
理由などない

どうして泣いてるの
あなたは花霞で、
触れてみたいと思ってしまえば 呪い
ただ咲き誇っては散っていく
夢みたいな春
交わらずに 吹き抜けてく
風でいてよね
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