好き

シナモンを噛むのが好き
冷たくない いやむしろ熱い
熱帯の森に棲む獣のようで好き

ラムの雫を噛むのが好き
甘くはない いやむしろ苦い
香りが舌を裏切って好き
だから歪な君が好き

なんて悪戯な手だろう 君は
こんな私を掻き乱して
タイダイの両腕が君をねだっている
なんて悪戯な目だろう 君は
こんな日々じゃ迷子になってしまう
朝も昼も夜もいつでもさらわれていく

雨音が強くなるのが好き
暗くはない いやむしろ明るい
夏の足音みたいでいい
君の足音みたいで好き

なんて意地悪な声だ 君は
昨日より欲張りになってしまう
私は不埒な言葉をこぼしそう
なんて意地悪な夜だ 今夜
明日のその先まで知りたくなる
朝も昼も夜でも君はその気にさせる
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