山鳩の啼く町

屋根で啼く山鳩が 突然啼きやんで
もしやと身支度をすれば また啼く鳩よ…
こんな夜更けの ひとり芝居に
幕引く痛さも もう慣れて
帰るのですか 帰らないのですか
秋桜(こすもす) 目映(まばゆ)い この町に
一年のはずが 三年も
わたしは 数えて 待ちました

少年の眼差しで あなたが追う夢を
わかってあげたくて ひとり 送った駅よ…
母が気を揉む 見合い話も
写真は手つかず 閉じたまま
ばかな娘(こ)ですね 不孝ばかりですね
もらった 恩さえ 返せずに
鉄橋を愛が 戻るまで
わたしは 運命(さだめ)を 止めました

迷い込んだか 朱(あか)いとんぼよ
窓から放せば 星月夜
帰るのですか 帰らないのですか
都会は 地球の 裏だから
一年のはずが いつまでも
わたしは その日を 待つでしょう
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