背中で聞こえるユーモレスク

もしもそのとき もしあなたが
もしもそのとき もしわたしが
ひとりになって暮らしていたら
いつかもう一度恋をしましょう

同じところを繰り返す 君の歌声を聴きながら
窓の向こうを流れてる 時間を僕は眺めていた

それは鮮やかな風の形のラストシーン
桜三月の 花に消えた
あのときふたりはフレンチ映画の中だった
なぜか終われない気がしてた

愛する人と歳をとる
好きだった人を懐かしむ

やがて穏やかに花びらは川になり
桜三月の 空を埋めた
過ぎてゆく日々をもう誰も
責めることはない
背中で聞こえる ユーモレスク

この窓を照らして
陽は昇り沈む
何も変わらない
終わりにさえも続きを見ている

ふりかえる道に残る足跡は
どれもふぞろいで どれも美しい
置き忘れてきたものがあったとしても
いまあのときの君が そばにいる
×