山はありし日のまま

振り仰ぐ大空に雲は流れゆく
悔やめども 山はただ
ありし日のまま
雪に埋もれた小屋が
僕らを招いた
カンテラの灯に揺れる若きあの夜

涙もろき春の空 チラリホラリ
せつなく粉雪が舞い降りる

君は亡きこの世は
憂う間もなくつれ
沢清水の美味さを誰と語ろうか

山を慕い恐れつつ 山に挑み
帰らぬ我が友よ この胸に

別れの言葉を
告げて振り返れば
可憐に佇む根尾の白百合
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