刹那

冷めた手のひら 擦る白い肌
不意に見せた感情はレプリカ
独り占めしたい 君の隣は
僕なんかじゃないんだろうな

一切の感情すら無いと分かっていても
見分けつかない 熱いその体温
背を向け揺れる 君の長い髪が
あまりに綺麗だった

甘ったるい匂いで
君に誘われていく
耳の傍で呟いた言葉の意を
確かめる事も もう出来ないとしたら
必要のない想いは もう紙袋に詰めて

袖を振れば その心は揺れるかい
四季折々と君を音や詩にしたり
喜怒哀楽を二人分かち合いたい
他に何も要らないのに

このままどうせ
フェードアウトしていくだけって分かってる
恬淡無碍なその顔で気付いた
決まり文句でも
君は上手な顔して言うんだ

引き留めた手
疾うに時間は過ぎてる
扉の向こうと乖離した二人の意図
交わることない糸を一人編んでる
荒唐無稽な願い
ねえ 僕をもういっそ壊して

幾何学的な愛の形は
仕上がったパズルみたいで
完璧だけど 面白くないよ
言葉で伝えたって 君は揺るがない
口を噤んでいるだけ

気付かぬ間に
恋に魅せられて落ちてく
優しくしないで 卑怯な君でいてよ
誰のものでもない 笑みを僕に見せて
心を奪って 骨の髄まで

甘ったるい匂いで
君に誘われていく
僕の傍で含羞んだ 無垢な笑みを
忘れてしまうことさえ 出来ないと思うから
叶いやしない恋意は
そっと胸の奥に秘めて

君に触れた その刹那にときめいた
君以外はもう見えない程に
僕をめちゃくちゃにして欲しい

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