花と嘘

雨の中を
傘もささず歩いていた
僕たちは

酷く濁った雫でさえ
かまわず身体に入れた

真夜中の空には
星のフリをしている赤い光が
あざ笑う様に 瞬いていたんだ

誰にも見えにいように隠した傷は
僕らだけの弱い者の証だった

飲み込んでいく
何もかも
欺いていく
僕だけ気が付いている
目の前の感情も
美しい日常も
何一つ信じられなくて

願って縋って手に入れた
いつしか姿変えたフィロソフィー

足取りは重さを増していった
きっと欺瞞の花が
どこまても咲いている

大切だった僕が
退屈なものに見えた

誰かの声のままに
夜のうちに
土へと埋めた

白む空の下
ありのままの
つもりでいた
芽吹いたのは
歪んだ偽物だとしても
美しく見えてるだろう

ああ
浮ついた言葉
影が伸びたまま
揺らめいて
まだ何も知らない僕を
演じていた

間違えたのは
僕じゃない
色づいていた
世界が
モノクロだった
最低な解像度
映し出す現象も
今はもう

飲み込んでいく
何もかも
欺いていく
僕だけ気が付いている
目の前の感情も
美しい日常も
何一つ信じられなくて

どうして不安で手放した
ガラクタに足を止めてるんだろう

渇ききった
僕らの先にはきっと
虚飾の花が
どこまても咲いている

霞む視界は
本物みたいだ
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