あじわい

こっちは薄くて こっちは濃すぎるな
ふいに思い立った僕の慣れない料理に
美味しいと笑いながら食べる君を見て
なんだか照れくさくて 俯く僕

春がアルバムをめくる
花瓶の花が揺れる
出会いから全てが宝物だよ

狭いけれど甘い夜も 背を向け合う苦い朝も
とろけそうなほどのキスも しょっぱくて仕方ない涙も
まだまだまだ君と味わっていきたいんだよ
大好きな君へ

同じレシピでも 人によって違う
この世界でたった一つ 僕らの恋
妬いて 沸かして 煮詰まって 不器用だけれど
ごめんね に ありがとう をまぶしながら

変わりゆく時の中で 変わることのないもの
一つでも多く 君と二人で

チョコレートの甘い文字も 背伸びをしたフルコースも
飲めもしないアルコールも 甘酸っぱくて青い台詞も
まだまだまだ君と味わっていきたいんだよ
全然飽きないから

大好物のその笑顔 クセになるあの冗談も
まろみのある粋な毒も 噛めば噛むほどに出る魅力も
まだまだまだ君を味わっていきたいんだよ
しわしわになるまで

狭いけれど甘い夜も 背を向け合う苦い朝も
とろけそうなほどのキスも しょっぱくて仕方ない涙も
まだまだまだ君と味わっていきたいんだよ
確かめにいこう 幸せの味を

こっちは薄くて こっちは濃すぎるな
ふいに思い立った僕の慣れない料理に
椅子にもたれて お腹をさすりながら
「美味しかったよ」とやっぱり笑う君に
「そうでしょ」と言いながら泣きそうな僕
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