B612

雨に咲いて 風に枯れた
あの花こそ 僕等を喩うだろう

嗚呼、くだらないぜ
君が君を騙しても
決して 僕は騙せやしないから

鮮やかなその記憶の大抵は
少し毒があるのだ

半端に吹く風に欠伸する君は
セピアの蛇が棲む

僕等の日々は星屑だった
離れるほど鮮烈になった
幾重も折り重なる雲の様に
何かを隠している

知らないでいて
君が願うなら この夜空は
太陽も照らすこと
雨に咲いて
風邪を引いたあの花を
きっと 僕等は忘れもしないだろう

だからB612 この街では
君の声を隠すように雨が降る

いまは見えない
星屑のひとつから
この目 塞いでも
そこにあることを知る

嗚呼、くだらないぜ
初めから持っていないのに
何故 欠けてゆくのだろう
雨に咲いて 風に枯れた
あの、あの一輪の花を

空を抱いて 凍えていく
その歩幅を愛しく思うから
嗚呼、知らないでいて
君がそれを望むなら
全て君のものだろう

だからB612 この街では
君の声を隠すように雨が降る
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