天地無用

幾つあっても 足りない命
バカを言うなよ 命はひとつ
明石(あかし) 荒塩(あらじお) ひとつまみ
酒の肴(さかな)に 酌(く)みかわす
俺とお前の この盃(さかづき)は
天にも地にも ただひとつ

箍(たが)が緩(ゆる)んだ 手桶(ておけ)の水は
いくら注(つ)ごうと たまりはしない
人のこころも 同じこと
女ごころは なおのこと
胸にきざんだ 男の夢は
天にも地にも ただひとつ

辛(つら)いときほど 値打ちがわかる
南部鉄(てつ)びん 男の絆
意地は立てても こめかみに
筋を立てれば勇み足 勝負どころで
打つ手はひとつ 
天にも地にも ただひとつ
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