月の兎と花言葉

君って今昔物語の月の兎みたい
狐や猿と比べては
カミサマにさえ笑われて
もっと役に立たなきゃって
自分の身を焼いている

すばらしくなんてさ
なくていい なくていいんだよ
月なんて行かずに
そのまま ここで笑ってよ
傑作だなんてさ
意地でも言ってやらないからね
君が消えちゃう結末を
美しくなんて語りたくないんだよ

学校の中庭 一輪 折れた花を見た
しなりのない真っ直ぐな茎が
なんだか君に似ていてさ
きっと花言葉があるなら
「生真面目」で間違いないや

たまには揺らいだり
曲がったりしてもいいんだよ
頑ななほうが
案外 もろく弱いから
怖がりの裏側
意地っ張り 言っても聞かない心
切り花にしたらもう少し
捨てずに花瓶で育ててみてほしいんだ

完璧になんてさ なれっこないんだよ
これまでがどうでも 本当を 歌っていいんだよ

そう すばらしくなんてさ
なくていい なくていいんだよ
月なんて行かずに
そのまま ここで泣いてよ
おはよう ありがとう
好きだよ じゃあねまた明日
その単純なワンフレーズで
僕の毎日はあたたかい

君が君を傷つけるための火を
僕は君と生きるために 使いたいんだ ねえ
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