浪漫詩人

軋む古い舞台で 魂が弾いてる
こめかみまで 響き渡るチェロ
傷ついた柱は 歴史を匂わせる
ひとしきりに 稲妻が笑う
今は失った 淡いコンチェルト
永遠の命が なぜかなわない
目覚めの乾きも癒せず

二度とあの時の ロマンをうたえない
逸る胸おさえても ほこりが踊る光線
カーテンコールの まぼろしを重ねてる
煙る記憶の果て

階段をかけてく 誰もいないホールの
軽やかなる こだまを聞いてる
耳にせまるレコード 風が泣いてるよう
すりきれてる 針が騒めいた
夜毎くり返す 燃えるセレナーデ
かすれた音色 指をすべらせ
孤独の曲を奏でる

誰一人過ぎたロマンを うたわない
恥じらいを隠しても ひとときの情熱に
縛られるたび ほとばしる涙ごと
切れた運命の糸

二度とあの時の ロマンをうたえない
逸る胸おさえても ほこりが踊る光線
カーテンコールの まぼろしを重ねてる
煙る記憶の果て
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