海の向こうには

海の向こうには まだ知らない輝きがあって
こんな錆びついた閉じきった町とはきっと違うよね

海の向こうには それが口癖の彼女が言う
君と行きたいの 二人乗りで その自転車で

あふれだす大粒の涙が繋いだ手に はじめまして
初めて君の胸の奥を知れた気がした
止まらないペダルが軋む音 どれくらい持ち堪えれるだろう
それでもただ君と観たい この海岸線を抜けた先

海の向こうまで 辿り着くには短い夜
山沿いのベンチに差し掛かる手前 土砂降りの雨

あふれだす大粒の雨が身体を重くするけれど
僕の背中 寄り掛かる君から伝う体温で
あと少し頑張れそうなんだ
不思議な気持ちになるんだ
これは或る町に住む 二人だけの青春賛歌

あふれだす大粒の涙が繋いだ手に はじめまして
あの時の温もりだけは今も冷めちゃいないよ
車輪は金切り声を上げ 雷鳴 それに呼応してる
それでもただ君と観たい 最悪な峠を越えた先

海の向こう側 泥塗れの彼女が笑う
壊れた自転車は捨てて のんびり各駅で帰ろうか
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