千の春

遠鳴りと 騒いでいる影
枯葉の海 乾いた音 響いて

君の手の 冷たさを 掴んで
耳鳴りを 愛でるように 撫でて

声もなく 泣いた
空に投げ出した からだ
何千回目の春
何千回目の冬

ひだまりと 淡い色の影
わざとらしく 柔い声で泣いて

細い髪を 揺れるままに 任せて
美しい 言葉だけ 歌って

歌もなく 泣いた
遠回りした からだ
何千回目の春
何千回目の夏

声もなく 泣いた
空に溶け出した からだ
何千回目の春
何千回目の冬
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