夢現、夏風薫る

暗い暗い夜の中を
1人で歩く日々は
ねぇきっと君が思うよりも
ずっとずっと痛かったんだ

君が言う
「ごめんね」の一言は
僕には理解できなくてさ
ただそれなら言葉は要らないから
横にいて欲しかった

秋になって
冬が来れば
君は僕を忘れてゆくんだね
それでいいさ
美しいあの日々は
ずっと消えないまま

僕の心に
夢現、夏風薫る

眩しい記憶の中
手探り君を探す
あぁきっと僕ら
変わっていくんだね
波がさらっていくように
そっとぎゅっと
上書きされてしまった
思い出せないことばかりだ
雲を掴むような感覚に
また胸が痛むから
忘れてしまえよいっそ
君の声も顔も仕草も香りでさえも

「君と見た景色はどれも美しかった
世界の端っこにひっそりと生きる僕を
映画の主人公みたいにしてくれたのは
この世でたった一人の君だった」

春になって夏が来れば
君は僕を思い出すのかな
そこに映る
記憶の中で僕ら
笑いあえていますか

秋になって冬が来れば
新しい風が僕らを運ぶ
それじゃあまた
ここでは無い何処かで
巡り会える日を

想っている
夢現、夏風薫る
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