名画座

男はいつもフランス映画の
気障で淋しげな主役気取りさ
やさしさとずるさあやつって 逃げてくわ AiYaYa
起きぬけにサヨナラのラブレター
からっぽのボトルにポツンと差し
あの人は憎い散りぎわを演じたつもり

泣かないで もう愛さないで
下手な言い訳だけ残して
幸福な朝に出て行った セピア色の恋

ああ クライ…クライ…クライ…クライ…
別離の場面をください
道化者なら ろくでなしなら
もいちど せめて
ああ クライ…クライ…クライ…クライ…
ルビーと花束抱えて
あのさよならは冗談だよと
名画座のように

朝帰りの恋人たちは今
ひとつの傘で 家へ急ぎ足
この雨よりもひとりぼっち 恋しくて AiYaYa
酔ってはしゃいで眠ったゆうべも
子供のように抱きあってたのに
前ぶれもない幕切れには何が似合うの

去かないで もう眠らないで
あの人は捨てゼリフもなく
幸福な朝に出て行った モノクロの街

ああ クライ…クライ…クライ…クライ…
別離の場面をください
道化者なら ろくでなしなら
もいちど せめて
ああ クライ…クライ…クライ…クライ…
ワインとくちづけ届けて
まったくウブな娼婦だねって
名画座のように

ああ クライ…クライ…クライ…クライ…
別離の場面をください
道化者なら ろくでなしなら
もいちど せめて
ああ クライ…クライ…クライ…クライ…
ルビーと花束抱えて
あのさよならは冗談だよと
名画座のように
×