アンダルシア

遊び飽きた遊具の色。
禿げた町の片隅のポスターが、
雨に濡れて散らばっていた。
大嫌いなアイツの声。
錆びたチャリの6段のギア、脱げたサンダル、壊された秘密基地。
風に触れて夏は過ぎた、追い越してくアイツも。

青く、青く、染まれ涙よ。
遠く、遠くへ、
まだ。

まだ。

まだ。

遊び飽きた遊具は今、
禿げたバカが固結び動かない。
壁に触れてただ待っていた、モザイク画の天使と君。
錆びたチャリを運ぶ母と抜けたトンネル、この街が秘密基地。
畦に向けて唾を吐いた、追い越してくポルシェも。

渇く、渇く、走り続けど。
遠く、遠く、漂うサクソフォンの音。
青く、青く、染まれ涙よ。
遠く、遠くへまだ。
まだ。

アンダルシア、僕を愛してくれ。
安心してそこへ返してくれないか。
僕を笑う声も、優しさも同じ色をしている。
この町のやけに湿った風もお社の祭、火照った君も全部、
もっと適当に憎めたらいっそ楽だよ、楽なんだよ。

遊び飽きた遊具の色。
禿げた街の片隅のポスターが、
雨に濡れて散らばっていた。
笑い合ったアイツの声。

アンダルシア、君を愛してくれ。
安心してそこで待っててくれないか。
僕を笑う声も優しさも同じ香橙の色。
この町のやけに湿った風もお社の祭、火照った君も全部、
もっと適当に愛すからずっと泣くなよ、泣かないでよ。
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