冬の蝶

愛を失くしたどうしが 寄り添うことを
ひとはやっぱり愛と 呼ぶのだろうか
流行(はや)りの服を脱いだ 君の肌には
誰がつけたのか 見えない傷あと
“愛してた” “生きていた” “輝いていた”
かすれ声のつぶやきは みんな過去形
冬の蝶 冬の蝶
ぼくの肌に とまれ

名前も教え合わずに 暮らせばいいさ
摩天楼の森に 春が来るまで
ほどいた髪の香り 少女のようだ
いつかなつかしく 思い出すだろう
“愛せるさ” “生きられるさ” “また輝くさ”
過去を埋(う)める粉雪が 溶けて消えれば
冬の蝶 冬の蝶
ぼくの胸で 眠れ

“愛せるさ” “生きられるさ” “また輝くさ”
過去を埋(う)める粉雪が 溶けて消えれば
冬の蝶 冬の蝶
飛んでおゆき 春に
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