色を喪った街 ~遺街~

鋼の錆びた道 曇天と同化する
何故ここに居るのか 理由の残像を追って

色彩を奪われ 灰色に染まる街
記憶の中に差す 鮮明な感情を 虹霓の祈りで願え

葬る風の緑 霞み滲むコントラスト
黄昏が暁へと 混じり合うこの街で

萌葱も琥珀の陽も 香るのは灰墨
銀白の満月さえも 今は鬱陶しいほど白い

「怒り」の深紅さえ 忘れてしまいそうだ
「涙」の瑠璃藍を 水墨の街路で 探す

遥かモノクロームの壁 雪と炭と錫の街
確かに憶えている 極彩の景色を 命の光彩 奪い返せ

地平線の無いスペクトラ厶
かき消える虹の街
光と影の渦 喪われていく境界面
信じた誰かは どれだけ鮮やかだった?
極彩色を探す 探している

嗚呼 深紅の血潮なら まだ僕を呼んでいる
命の この眼の光彩 奪い返せ
×