暖かい声

幼い頃の面影と橙が象る影法師で
その背中が小さく見えて
なぜだろう、胸がギュッとなる
溢れてしまうほど

心を聴いて 言葉じゃうまく伝えられないけど
あなたの手を握れる時間は限りがあるから
歌で綴って 挫折の夜も青白く霞む朝だって
そばにいてくれた

幼い頃に飛ばしてみた
紙飛行機の軌道を追いかけてる
転んで嘆いて塞いだとき
あなたの顔を思い出すよ あきれるほど

許される時がきたら
うちへかえろう

揺れる世界で僕一人だけが不幸な顔して
素直になんてなれないから心にもないことで
傷つけたって 月夜の雨も枯れ果てた晴れの日差しも
傘をさしてくれた

僕らが暮らした商店街が
時の魔法でまた寂れてゆく
あのね、その前に伝えておかなきゃ
ありがとう ありがとう
言葉だけじゃ足りないなあ

わがままだって言いたいときはぶつけてもいいんだよ
軽口だって交わせるうちに交わしておこうよ
もしも冬があなたのもとへ訪れて凍えるときは

ねえ

心を聴いて 言葉じゃうまく伝えられないけど
あなたの手を握れる時間は限りがあるから
歌で綴って 暖かい声を次はあなたに返したいよ
そばにいるからさ
ああ、終わりの時まで

心を聴いて
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