天使と悪魔

天使は言った
「逃げることは恥ではないのです」
悪魔は言った
「ちゃんと復讐してやろうぜ」
天使は言った
「誰かに頼ったっていいのです」
悪魔は言った
「後ろからズブりといこうぜ」

そんな勇気も頭もないしさ
家族にだってバレたくないしさ
正義も悪もしらんけど
なんで僕がこんな目に合うかな

天使と悪魔は言った
「つべこべいわず生きていくのです」
たとえどんなにみじめだろうと
たとえどんな罪を背負おうと
天使と悪魔は言った
「いつの日か僕らが消えるまで」
少しだけ話をしよう

天使は言った
「部屋からでなくたっていいのです」
悪魔は言った
「やつの悪口書き込んでやれ」
天使は言った
「好きなゲームだけやってようよ」
悪魔は言った
「爆弾の設計図を書いて」

お前らには一生わからない
消えたい気持ちなんてわからない
因果応報 無情世界
だってヒトに生まれた運の尽き

天使と悪魔は言った
「どうでもいいが生きていくのです」
たとえどんなに負け戦でも
たとえどんなに不幸だろうと
天使と悪魔は言った
「君が少しだけ笑えるなら」
なんでも付き合うから

下心の親切も
正義感の攻撃も
泣き出しそうな幸せも
笑っちゃうような最悪も
情けなく強がりな僕も
嫌いな奴に笑う僕も
好きな子を見ている僕も
全部が僕だと

天使と悪魔は言った
「僕らは君だからわかるんだよ」
少しだけ息して

天使と悪魔は言った
「君が約束してくれるまで」
「いつまでも付きまとってやるよ」
「うるさくって困らせてやるぜ」
天使と悪魔は言った
「それが嫌なら約束しようぜ」
死ぬまで生きることを

天使と悪魔は言った
「いつでも見てるぞ忘れるなよ」
約束したこと
死ぬ気で守れよ
笑って死ぬ時まで

天使と悪魔は消えた
いつの間にか大人になった
天使と悪魔は消えた
いまも二人の声がどこかに響いてる
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