紫陽花

悲しくなるくらい一面の青と
眠たくなるような夏の匂いに

溺れないように息を吸って
嫌になる前に捨ててしまおうか
炭酸も抜けきったし

枯れて爛れて茹だる前に
全て忘れてしまいたい
紫の花
乾いたアスファルトに影を落とす

低く唸った空の歌 強い風
気の遠くなるような思い出ばかり

暮れて忘れ去った
あなたの横顔に呪われて
どうかもう泣かないで
夏はすぐそこさ歩いて行け

雑踏の中揺らめいた
春の暮れ夏の訪れ
境界線は蜃気楼
青く滲んでも君は
乾いた顔で笑った

枯れて爛れてしまうのでしょう
せめて綺麗に散らしてよ
紫の花
乾いたアスファルトに落とす影は
消えた
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