Ordinary

生まれたての光が
街をふちどってゆく
公会堂の壁を 扉を
鳩の群が横切る

あなたの遠いまなざしを
導くすべはないけれど
並んでみている

忘れられないことよりも
なくしたくないものよりも
はげしく やさしく

少しへこんだカバン
まるで 子犬のように
大事に抱えている
あなたを この窓辺で見送る

汚れた水が流れてく
川沿いの道まっすぐに
見えなくなるまで

生き甲斐なんて言葉より
ありふれた毎日だけを
信じて 愛して

道に迷った旅人に
差し出す地図はないけれど
勇気をあげたい

忘れられないことよりも
なくしたくないものよりも
はげしく やさしく
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