夜の湖

こゝろ静かな 夜の湖
濡れてにじむ 遠き灯
山のホテルの 月のヴェランダ
ひとりたゝずむ かげのさびしや

ふたつ並びし 椅子もかなしく
若き夢の いまださめず
わが身のひとつに 想いいだきて
夜のふかさに 今宵沈まん

ちからかよわく くずれ終りし
若き恋の 夢のあとよ
何のこゝろぞ たずねきたりて
あわれ水藻の 花とかなしむ
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