petrichor

500円のビニール傘
ちょっと高い気がしたんだ
濡れて帰った道は
まだ歩き慣れないや

柄にもない服で
ちょっとだけ背伸びをした
新しい街にも人にも
まだ馴染めずにいる

一雫落ちたそれは
ほんとに雨だったのかな
そっちの天気はどうだい
こっちは雨の匂いするよ

ぽつりぽつりまたひとり
ぽつりぽつり落ちた光
ひとりふたり過ぎる人を
見送って
ぽつりぽつりこぼす吐息
ぽつりぽつり揺れる光
当たり障り無い言葉を
吐き出して、虚しくなって

一雫落ちたそれは
きっと濡れた髪のせいで
寝顔を見つめる僕の
髪は君の匂いがした

一雫落ちたそれは
ほんとに雨だったのかな
最寄り駅のプラットホーム
大切な街の匂いがするよ

忘れられないあの街から
もしも君がいなくなったら
全部なかった事になるようで
無くさないでまだ僕は
ここにいるよ
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