言えなかった言葉

ラッシュの街角 俺を見つめるおまえがいた
なつかしい想いと うしろめたさがこみあげるよ
「元気そうね」はずんだ おまえの声が聞こえてきた
隠せない戸惑い 作り笑いでうなずくだけ

うつむいてばかりいたおまえの 陰りのない澄んだ瞳
つらい想いさせた俺を うらんでいいのに

流れ去った時がおまえを どんな風に変えたの
想い出だけひきずってる 俺はあの頃のままだよ

何ひとつ 誇れず 傷つけてばかりいた日々が
やるせなく この胸に あざやかなほどよみがえるよ

ふと思い出したお伽話し それは「太陽と北風」
まぶしすぎるそのほほ笑み やさしさが痛い

振り向かずに生きていける おまえは自分を変えた
若過ぎたと悔やむだけの 変われない俺は
流れ去った時がおまえに 涙を忘れさせた
想い出だけひきずってる 俺はあの頃のままだよ

「しあわせ?」と 言いかけ 言いそびれて隠した言葉
「元気だよ 俺はまだ 相変わらず夢をみてるよ」

街角に雨が降り出した
胸の中でつぶやく「さよなら」
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