恋人の種

二億年生きていた 恋人の種
二億年 まどろみの夢の中
ひたすらに待ちつづけ 今ここにいる
きょう生まれ あした死ぬ
わたしの前に

その人は知っている 原始の空を
岩石に降りそそぐ あたたかい雨
くりかえす昼と夜 無限の闇の
淋しさにひえきった 長い明け方

「ゆらゆら おもかげ
消えないで もう少し
会いにいく ぼくはきみに
会いにいく いつかきっと」

その人に残るのは たったひとつの
宇宙さえ震わせる 願いだけ
「こんなにも こんなにも きみに会いたい
淋しくて 淋しくて きみに会いたい」

「たとえ 永遠が
ぼくたちを へだてても
たどりつく ぼくはきみに
たどりつく いつかきっと」

ふたたびこの星に 静けさがおとずれて
その姿が消えたあとも
想いはそこに残るだろう

「たとえ 永遠が
ぼくたちを へだてても
たどりつく ぼくはきみに
たどりつく いつかきっと」
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