あなたのもの

私が選んだこの人は あたまがちょっとおかしくて
顔がとっても壊れてて 言うこと為すこと変態で
けれども一つまともなことは 私を愛してくれたこと
淋しがりやで強情で ひがみっぽくていじけ屋で
君がいなけりゃ生きてゆく 望みもないよと口説かれて
手紙や電話が舞い込んで いつしか心がかたむいた
ああ今日からは あなたのもの
ああいつまでも あなたのもの

女ばかりのきょうだいで 蝶よ花よと育てられ
たいした苦労も知らないし 掃除も洗濯も下手だけど
あなたの家に嫁いだら しもやけアカギレなんのその
一生懸命尽くします 可愛い妻と呼ばれます
生まれた町や山や川 父さん母さん妹よ
やさしい顔が想い出が 小さな胸をしめつける
ああ今日からは あなたのもの
ああいつまでも あなたのもの

少し不安な頃でした 六月半ばの事でした
個展を開く手伝いで 油絵積んだバスに乗り
夜明けの東名高速を とばして銀座に着いた朝
私の膝で眠ってる あなたの寝顔見た時に
きびしい明日と雨風と 闘う人のこの人の
涙に夢に人生に ついて行こうと決めていた
ああ今日からは あなたのもの
ああいつまでも あなたのもの
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