歌い残した歌

つぼみのままで 夢は枯れ
寂しくすする 冷えた酒
都落ちする 春の宵
さらばとふりむく 街の灯に
歌い残した 歌がある

少女のままの けがれない
写真を置いて 消えた娘よ
どこへ行ったか 日陰花
別れて幾年 世を拗ねた
身にも涙は ながれくる

こころのほつれ 逢うひとも
二十才に帰る 道もない
山のみどりよ 海の青
旅路になきがら さらすなら
枯れて見果てぬ 夢に死ぬ
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