冬の華

涙まじりの 霙(みぞれ)か雪か
頬(ほほ)を掠(かす)めて この襟(えり)濡らす
行方(ゆくえ)預けて 解(ほど)いた帯は
何を知るのか 冬の華
ひとつ想い出 あればいい
人の 人の儚(はかな)さ 知ればこそ

別れなみだは 化粧に隠す
隠せないのは 情念(こころ)の乱れ
見えぬ縁(えにし)に 縋(すが)ってみれば
口紅(べに)もせつない 冬の華
咲いて散りゆく ひとひらに
人の 人の哀しさ 知ればこそ

冬の寒さの 隣りは春よ
情愛(なさけ)・ぬくもり 袂(たもと)に包む
積もることない 消えゆく雪に
わが身重ねる 冬の華
ひとつ想い出 あればいい
人の 人の優しさ 知ればこそ
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