なぁ女将

洒落(しゃれ)た肴(さかな)は なくていい
二合徳利で ぐいと呑(や)る
路地裏づたいに 水仙の花
めげずに今年も 咲いたとか
ちいさな酒場(みせ)の ちいさな話
沁みる 沁みるぜ…… なぁ女将(おかみ)

苦労こぼして 何になる
酒のしずくに 流し込め
ほのかな香りの 水仙の花
女将に似てると 言い出せず
口説(くど)きの下手な 男がひとり
これで いいんだ…… なぁ女将

みぞれまじりの この雨も
春が訪れ 止むだろう
心に押し花 水仙の花
消えそに消えずに 抱いてきた
白髪の混じる いい齢(とし)だけど
淡い 夢見て…… なぁ女将
×