ハブ・ア・グッドナイト

ゆうべ考えた名台詞は
すぐ側をとおりすぎた
トラックに
かき消されたし
予定じゃ改札の前で
なかなかつないだ手を
離せないのは
君の役目だったのに

いつもそうさ
ひとりぼっちで
眺める窓辺じゃ
上手く手を離せるのになあ
なんでだろう
ひとりきりで歌ってる
いつもの窓辺じゃ
うまく手を振れるのになあ

どこまでも暗い窓の向こう
今夜もひとりで
僕がうたうこの歌の正体が
たとえばきみの幸せとか
そんなのを願うのなら
どうかまったく
なんの役にも立ちませんように

「明日はきっといいことが
あるぜ」、なんてそんな
いい加減、言ってみたりして
「さようならの仕方を
教えてあげるよ」、なんて
そんなの、本当は知らないのに

君に話した
あれやこれは
どれもちぐはぐで
笑えてしまうなあ
もしかして
きみも同じように
白いマスクの下
笑っていたのかなあ

いつまでも君は知らないさ
ときどき振り返る
君のはるかむこう
どでかい夕焼けを
それはいつかきっとなくなる
とてもきれいな赤で
僕は少し
驚いてしまったよ
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